住宅完成保証とは、この余分に掛かる費用分(増嵩工事費用)を、保険会社が引継ぎ会社(代替履行業者)に払ってくれます。
代替履行業者の斡旋を希望しなければ、保証金は、発注者へ支払われます。
・・・補償システム・補償限度額・補償範囲は、保険会社によりまちまちですので、それぞれの保険会社へご確認下さい。
保険会社は、これさえ保証すれば、住宅が完成するものと考えています。無理も有りません。
・・・が、そう簡単には、物事が運ばないのが現実です。

発注者が代替履行業者のあっせんを希望しない場合
イ. 機構は、発注者に保証金支払いの通知をします。
ロ. 発注者は、当初の請負業者との工事請負契約を解除します。
ハ. 機構は、竣工後保証契約の範囲内で発注者に保証金を
お支払いします。
発注者が代替履行業者のあっせんを希望した場合
(1)機構は代替履行業者候補をあっせんします。
(2)発注者は代替履行業者を決定します。
(3)発注者は、代替履行業者に残工事を発注します。
(4)代替履行業者は残工事を施工します。
(5)工事完了確認後、機構は代替履行業者に増嵩工事費用などの
保証金をお支払いします。
住宅完成保証の保証事故発生時のフローの一例 住宅保証機構より
● 上図の ロ. 発注者は、当初の請負業者(倒産)との工事請負契約を解除します。・・・ここでつまずく可能性があります。
倒産して、代表者が雲隠れしたりすると、契約解除手続きが出来ません。そもそも、美しく倒産してくれない場合があります。(最近の花菱の例)
破産管財人による法的処理により、契約の解除に漕ぎ付く事になります。
契約解除できないと、工事途上の住宅もどきは、発注者の物ではありません。
● 工事契約時(着手時)に、不覚にも全工事費の大半を支払い、直後に倒産されと、倒産会社の資産が少しばかり残っていても、破産管財人としては、債権者に公平に分配しますから、施工されていない分の工事費は、殆ど帰ってこないと考えた方が良いでしょう。資金が大幅にショートしますから、住宅は完成しません。
保険料が高くなりますが、過払い分の内、全工事費の20%程度までを上限として保証するオプションを追加することも可能な保険会社もあります。
過払いとは逆で、払い込んだ金額以上の出来高となっている場合、見積書を分析した上で、出来高分を買い取る形で、破産財団へ金額を返還する事になります。
破産されて得することは無いんですね。
● 住宅完成保証制度に登録された施工会社は、制度参加金(名称は一例)と言うものを払います。この金額の多寡により、同時進行中の現場の請負工事高に上限制限があります。施工会社が、保証会社へ保証委託契約を申請しても、保証契約が成立しない場合が多々あります。保証会社への登録会社だからと安心していても、この場合保証契約成立保証書は手元に無いはずですから、倒産されると、住宅は完成しません。
● 標準の工期を基に、保証期間を定めていますから、倒産の修羅場で、工事が遅れている場合(殆どの場合)、契約上の保証期間がとっくに過ぎている場合が考えられます。完成保証されませんから、住宅は完成しません。
建築主が諦めなければ住宅が完成するかもしれないので、「住宅完成補助」保険と改称した方が良いかも知れません。
ちなみに、JIOでは、「完成サポート制度」と名付けています。
住宅完成保証制度の名称に惑わされること無く、保証契約成立保証書の有無、契約内容・約款・金額等をよく確認されることをお勧めします。
過剰な期待は禁物です。
くれぐれも、契約時に払いすぎないように注意しましょう。
支払い条件の例です。住宅生産団体連合会より
3回の場合:契約時2、上棟時(中間時)5、完成時3
4回の場合:契約時1、着工時3、上棟時3、完成時3
契約時1、着工時3、中間時4、完成時2
5回の場合:契約時1、着工時2、上棟時3、内装着手時2、完成時2
なお、2009/10/01から施行される住宅瑕疵担保履行法は、住宅完成引渡し後の特定住宅瑕疵を対象にし、竣工後に施工会社が倒産しても、住宅取得者に補修費用を担保する制度ですから、完成するまでは、何の役にも立ちません。
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ラベル:住宅完成保証