5年に一度の、宅地建物取引主任者法定講習会を受講しました。200人以上の聴講者がありました。
生業としているわけではありませんが(ペーパーライセンス)、とても参考になります。
5年の間に法令およびその解釈がずいぶん変わってきています。
興味の湧いた話題は、
● 賃貸マンションの原状回復は、消費者契約法の制定により、「自然損耗・経年劣化の修復費用を賃借人に負担させる特約」が無効とする判例が出たこと。(京都地裁・判決H16年3月16日)
● 通常損耗(建物の通常の使用によって生ずる損耗)は、余程の契約書上の確認がない限り認められないこと。
「すまいのしおり」 に記述して配布してもだめ。(最高裁・判決H17年12月16日)
● 不動産登記法の全面改訂―――オンライン登記
相当以前から原状回復工事の負担は、殆どが大家さん持ちに変わって来ていましたが、敷金は、物を壊さない限り全額返って来ると考えて良さそうです。
詳しくは国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をご覧下さい。
@ 原状回復とは
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
⇒ 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化
たばこによるクロスの汚れは、通常使用の範囲ですから、クロスの張替えは100%オーナーさん負担となります。
「すまいのしおり」が在ったとしても負担割合を折衝する余地はありません。
このガイドラインの存在(平成10年3月)により、洗浄しやすい、汚れの落ちやすいクロス材料が使われていますし、クロス張替え・塗替え工事費は、賃料に上乗せされているはずです。
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